レポート:「発酵醸造未来フォーラム東京’18」
発酵醸造の祭典『F3』。Day2レポート
3月9日 (金) 、10日 (土) の二日間にわたり開催された「発酵醸造未来フォーラム (Fermentation Future Forum/略称:F3) 」2日目の模様をお届けする。
雨模様の前日とは打って変わり好天に恵まれた二日目は、初日以上に多くの来場者が会場となった国重要文化財 旧醸造試験所 第一工場 (赤煉瓦酒造工場) に訪れた。
▲ 晴天に恵まれ多くの来場者で賑わった
メインとなるZone1で行われた「Future Talk」。2日目には辨野義己 (理化学研究所 農学博士) 、山本実侑 (東京大学学生) 、丸山潤一 (東京大学農学部生命科特任准教授) 、千葉麻里絵 (酒ソムリエ GEM by moto 店主) 、市耒健太郎 (恋する芸術と科学 主宰) 、坂本大三郎 (山伏) 、青江覚峰 (僧侶) 、安田翔平 (Restaurant Kabi 料理長) 、生江史伸 (レフェルヴェソンス料理長) が登壇。専門家からシェフまでそれぞれの視点から “発酵” をテーマに語られ、高い関心を集めていた。
場外のZone2は「Creative Chaos」と題し、ジャンルを超えたゲストを迎えてのディスカッションを開催。千葉麻里絵 (GEM by moto) と東京大学の丸山潤一は「ゲノム時代の新・酒文化創造主義」というテーマで麹菌のゲノム編集と有性生殖の話などを討論。日常でできる新しい味という観点で千葉は「口内調味を意識すること。1ヶ月意識してすごしてみると違う風景が見えてくる」と口内調味の面白さを説くと、丸山は「甘酒には麹菌そのものが入っているので、甘酒を飲むことで菌を感じられる」と話した。
▲ ディスカッションする千葉麻里絵と丸山潤一
続いて、フードエッセイストの平野紗季子を司会に、生江史伸 (レフェルヴェソンス) 、安田翔平 (Restaurant Kabi) 、森枝幹 (Salmon&Trout) という注目のシェフ3人が登場。「飲食産業は、ミシェラン・ヒエラルキーの次へ」というテーマでディスカッションを行った。
▲ 左から平野紗季子、生江史伸 、安田翔平、森枝幹
レストランの垣根を越えたコラボレーションについて、生江は「コラボをやらないと人が来ないという現象が起きている。それと手詰まり感。コラボばかりしていると、自分一人でやったときにそれに届かなくなる。ジレンマが起きているのでは」と指摘。ほかにもインスタをはじめとしたSNSの影響についても、SNSを通じた発信によって世界の料理がどこに行っても似てくる。コピーの時代になっているなど、現在の飲食産業で起きている問題点について白熱した議論が繰り広げられた。
▲ 注目のシェフ3人のトークには多くの人が押し寄せた
Zone3は「Fermented Yatai & Community」というテーマで、発酵にまつわるドリンクやフードが楽しめるスペース。ひとくち発酵フードとして、二日目は[Restaurant Kabi]が監修した「鯖鮨」が登場。人気を博していた。
▲ [Restaurant Kabi]が監修した「鯖鮨」
ほかにも会場では、前日に引き続き品川のバー「酒茶論」の上野伸弘による「古酒BAR」やアーティストによるライブが催されるなど、聞いて、食べて、飲んで発酵を体験できる貴重な機会となった。二日間を通じて、多くの来場者が訪れ発酵への関心の高さを実感するとともに、発酵の祭典として今後の開催へも期待が高まるイベントとなった。
「発酵醸造未来フォーラム東京’18」
日程:3月9日(金)、10日(土)
会場:国重要文化財 旧醸造試験所 第一工場(赤煉瓦酒造工場)
東京都北区滝野川2-6-30
http://fermentationfutureforum.org