【RiCE東京特集】23区ドラフト会議 2023
素直になれる、ジェノヴェーゼ。世田谷区[スポルカチョーネ]
発売中のRiCE 28号「特集 おいしい東京」では、「東京23区 ドラフト会議 2023」と題した企画を実施。飲食店が星の数ほど存在する東京において、“果たしておいしいのはどこ?”という途方もない問いに、4名が挑戦した。
野球のドラフト形式で、“おいしい区”を指名し合い、東京を彩る名店をピックアップ。RiCE.pressでは、本誌では語り尽くせなかったお店の魅力をご紹介!
第1回目は、オガサワラガクさんが1位指名した世田谷区から、松原の古民家に構えるイタリア料理店[スポルカチョーネ]。
知人の実家だった建物に昨年移転。以前の姿をほぼそのまま残している店内は、友人の家に招かれたような気持ちにさせてくれる
[スポルカチョーネ]は昨年11月、用賀から明大前にお店を移転してきた。
店内には、店主・井上雄一さんの大好きなスヌーピーとサッカーグッズが所狭しと並び、オープンして半年も経たないのが信じられないほど時間の蓄積を感じさせる。
初めてでも、どこか懐かしく寛げてしまう異空間。
そんな場所が明大前駅から徒歩10分弱の住宅地にあるなんて、誰が想像できただろう。
店主の井上さんとスタッフの齊藤さん、キッチンを背にしたカウンターから
店名となっている「スポルカチョーネ」はイタリア語で「食べ散らかす」という意味。そんなお店の看板メニュー、超すり立てジェノヴェーゼは作り方から超豪快だ。
ニンニクと松の実を叩いたすり鉢に、生のバジルをワサッと一掴み。オイルや粗塩を加えながら勢いよくすり潰す
茹で上がった麺をそのまますり鉢に投入!
新鮮なバジルの香りにわくわくが高まる。お客さんに提供するときは、テーブルまで行ってすり潰しているところを見せるそう
わずか数分間の、シンプルだけど美しい調理劇。
厨房から漂ってくる鮮烈なバジルの香りがあたりを占拠し、店内がえもいわれぬ一体感に包まれる。
湯気立ち上るジェノヴェーゼがおもむろに取り出されたスヌーピーの皿(ここでもスヌーピー!)に豪快に盛られる頃には、食欲が最高潮に達していた。
看板メニュー・超すり立てジェノヴェーゼ
「おいしい……」
素直にそう思う味に出会えることが、果たして人生でどれくらいあるだろうか。
ガツンと嗅覚を刺激するジェノヴェーゼをフォークでぐるぐると巻き取って口に運ぶ。
子供の頃からイタリアに憧れ、18歳でイタリア料理に目覚め、常に最前線の現場でイタリア料理を作り続けてきた井上さん。
そんな生き様が表れたどこまでもシンプルなジェノヴェーゼの隠し味は、最高のイタリア・リスペクトだろう。こちらの胸に真っ直ぐ飛び込んでくるその味に、ちょっと泣いてしまいそうになった。
完食すると、お皿の底からもスヌーピーがこんにちは
東京での生活は、きっとうまくいく日もいかない日もある。
でも、なんだかそのまま家に帰りたくない日は、[スポルカチョーネ]の料理に「おかえり」を言ってもらえばいい。
こころの実家[スポルカチョーネ]でざっくばらんな本格イタリアンを食べ散らかせば、きっと明日も素敵な TOKYO LIFE を送れるはず!
東京には、こんな常連客になりたくなるような隠れた名店がまだまだたくさん。
RiCE 28号「特集 おいしい東京」片手に、あなただけの “TOKYO SOUL FOOD” を見つけに街へ繰り出そう!
スポルカチョーネ(SPORCACCIONE)
03-6379-2869
東京都世田谷区松原1-20-18
17:00~22:00(L.O.21:00)
水曜、日曜定休
Instagram @sporcaccioneitalianオガサワラガク
餃子を愛し餃子に愛される「餃子超人」。ビールやイベントプロデュースなど餃子を中心に活動するが、実は食べ歩きの守備範囲は餃子に限らず幅広い。吉祥寺生まれ&育ちで、港区、渋谷区に住んだことがある。
Instagram @kebab
Photo by Yu Inohara @yu_inohara
Text by Rin Inoue
Edit by Yoshiki Tatezaki
RiCE28号|おいしい東京
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