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辛味へのボヤキ (カレー屋編)


Yohei MatsuzakiYohei Matsuzaki  / Mar 13, 2018

「辛い食べ物があまり得意ではない」 そう話すと大抵の場合ビックリされる。カレー屋をやっている=辛いものが好き、というところが一般的な認知としてあるのだろう。確かにカレーは料理として、相対的に辛いものだとは思う。だけど辛くないカレーも勿論あって、自分の好きなカレーはそういう類のカレー、なのでお店で出すカレーも自然と辛くないカレーになる。ただ、辛いものが得意ではないだけで嫌いというわけじゃない。辛い料理でも美味しいと思うものはそれこそ沢山ある。だけど辛味への耐性が低いおかげで辛味が邪魔になってうまく味わうことのできないものもあったり、この辛味はダメだけどあっちの辛味はイケるといった辛味の趣向の問題もある。考えてみるとなかなか複雑な味わいとしての辛味。 味わいとしての辛味? “味わい” というのはちょっと違うのかもしれない、そもそも味覚とは甘味、塩味、酸味、苦味、うま味で構成される5つの基本味で、辛味は含まれていない。辛味は味覚ではなく痛覚や温度覚で受容される、すなわち痛さや熱さで感じ取る味、刺激?ということらしい。辛味と味覚はそれぞれ別々の受容体で感じ取るので、先に言った“辛味が味覚の邪魔になる”という感覚はおかしいのかもしれない。というか、辛味への耐性がないばっかりに味覚と辛味の合わせ技的な味わいをうまく理解できていないんじゃないかと思い始めたりで、なんだか損した気分になってくる。

▲ 南の国スリランカへのフライト、スリランカ航空での機内食。ビックリするぐらい辛かった

昔から辛いものが苦手だったわけではない、むしろ辛いものを好んで食べていた時期もあった。それが数年前にインドのデリーに行った時に辛味への耐性がゼロにリセットされてしまった。訪れたデリーで衝撃的なカレーと出会い、それがきっかけで!とかいう話があればドラマチックで聞こえがいいのだろうが、特段何があったというわけでもない、普通にインドに行って帰国すると辛味を受け付けなくなっていた。

▲ インドのデリーの滞在時に辛味の耐性リセット。普通に食べ歩いていただけなのに一体何故?!

こういう短期間で耐性がリセットされてしまうという事は自分以外の体験として聞いたことがないので、結局原因もわからずじまいだ。辛味への耐性ついでに、この関連でよくトピックに上がるのがnature or nurture (生まれつきか育ちか) 問題、耐性のあるなしはうまれつきか育ちか?

▲ 唐辛子の中でも辛味が控えめで唐辛子の風味だけを味わえるものもある

これは個人的には育ちの割合が強いと思う。暑いところに住む人や辛い料理をよくたべる地域の人は遺伝子レベルで辛味への耐性が備わっていそうだが、メキシコの家庭では子供が小さい頃から砂糖とチリパウダーをミックスしたパケットを与えて辛さの耐性をつける、なんて話を聞いたりすると、やっぱり育ちや環境かなと思ってしまう。そんな事を考えていると、また耐性をつけてみたいなという気分になってくる。話が飛び飛びになってしまったが、何を言いたいかというと、そんなうちの店でも辛味オイルというものがあります。激辛ではなく常識的 (?) な辛さの中で香ばしさやコクを味わえると思います。無料ですので、お試しください。

have more curry (ハブモアカレー) 住所: 東京都港区北青山3-12-7 カプリース青山 B1F 電話: 03-3407-7001 時間: 11:30~20:30 (L.O 20:00) 定休: 木曜休

 

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