【潤いのレシピ】 第八回・森枝幹(昼食編)

時間がないときにも、つまみたくなる茶卵を


PromotionPromotion  / Jul 1, 2020

有名シェフの素材への向き合い方を聞きながら、日々の食から暮らしに潤いを与えるようなレシピを朝・昼・晩と三食ご提案いただく連載企画【潤いのレシピ】。

「ガストロミーの文化も大切だけれど、受け継がれるべき食文化はそれ以外の分野にもたくさんあり、料理人ができることはまだまだある」と、話す森枝幹シェフ。朝食編では「茶粥」のレシピを教えてくれましたが、今回は昼食や軽食としても重宝する「茶卵」の作り方を教えてくれました。材料と作り方は下部にまとめています。

「ステイホーム期間中に、とにかくハマったのがお茶。飲用としてはもちろん、いろいろなお茶をさまざまな方法で抽出し、味の違いを確かめるうちに、料理素材としてのポテンシャルをこれまで以上に感じるようになりました」

とりわけ、水出しのお茶に可能性を感じたといいます。「中国茶や台湾茶は、一煎目は香りだけを楽しみ、煎を重ねながら味を楽しむ文化がありますが、きれいな水でやさしく抽出をした水出しのお茶は、えぐみが出ず味わいがクリアで、茶葉が上質になるほどその持ち味も活かせるんです」

教えていただく茶卵は、ゆで卵をお茶と香辛料で煮込んだもので、台湾では軽食としても楽しまれている総菜のこと。

「台湾に行かれたことがある方ならご存じ、コンビニの隅っこでも売っているアレです。驚くほどおいしいものじゃないのに、なぜかなくならない。そういう食べ物にこそ、何かあると感じるんですよね」

フードジャーナリストで写真家の森枝卓士氏を父に持つ森枝シェフ。子供時代から、例えば家で食べるカレーライスひとつにしても“異文化体験”で、一皿の料理の味わいから、その背景にある文化を探るクセが自然に“ついてしまった”のだと話します。ラボとして活用するキッチンを備えた自宅のリビングにも、壁一面の書架に膨大な蔵書が並びます。

「ここ最近、面白いなあと繰り返し手に取るのが『Meshi』(ピエブックス)。江戸時代に食べられていたいろんな飯(めし)を、文献をもとにできるだけ忠実に再現し撮影したビジュアルビックです。和食の世界では味の最高峰=京料理というイメージが定着していますが、江戸の飯は、もっと庶民の暮らしに根付いた“糧”なんですよね。ところが椀の中のビジュアルは素晴らしく研ぎ澄まされていて、調理法は極めてプリミティブ。こういう食の文化は、世界のガストロノミーに影響を与えているはずなんです」

そんな風に没頭する本、旅先で出会った料理や料理人の考え方、その上や横に広がるさまざまな食文化をジャンルレスに、包括的に、わかりやすく(いい意味で「キャッチーに」)伝えていくのが今の活動の主軸になっているといいます。

「シンプルで、伝わりやすいじゃないですか。『この本を一冊読んでみてよ』っていうよりも」と、森枝シェフ。

プロデュースを手掛けた店は、新宿ゴールデン街のレモンサワー酒場[the OPEN BOOK]や調布の薪焼きレストラン[MARUTA]、渋谷のタイ料理店[chompoo](現在シェフも務める)と、立地やジャンル、業態も多岐に渡ります。しかしながら森枝シェフが一貫して伝えようとしているのは、味の裏側にある文化なのだといいます。

「そういう意味では茶卵も、ここ数年、ずっと心に“引っかかっている”食べ物。台湾の近年の発展は目覚ましく、食のシーンもどんどん更新され続けているけれど、この地味な食べ物は絶対になくならない。そこにすごく人っぽさ、文化のクセみたいなものを感じるんですよね」

包丁の先端で卵を軽く突き、小さな穴を開けておくと剥きやすい。表面をツルツルとした質感に保てます

沸騰したお湯にいれて、かためのゆで卵をつくります

ゆで卵をスプーンの裏で叩きヒビをいれ、味を染み渡らせるための準備を

卵は日本でも、多くの家庭の冷蔵庫に常備されている食材の代表格。

「毎日の暮らしの中では、身近な材料、さらにできるだけ少ない材料でできるおいしさこそ重宝されるべき。それは“手軽さ”のためだけではない。食の本質に近付くという意味でも重要だと思うんです」

ゆで卵を、お茶、スパイス、調味料で炊くだけの料理ともいえない料理。味を決めるのは、水の質だといいます。

長めに水出ししたプーアール茶にスパイスや調味料をいれ、1時間ほど卵をゆでます。その後半日〜1日程度冷やして味を染み込ませます

「雑味なくやわらかなクリンスイの浄水が、どれほど味づくりの助けになるか。だしやお茶の抽出ほど、その効力を感じることはありません。おいしいお茶は、おいしい水なしではできない。そしてお茶がおいしければおいしいほど、お茶で味を付ける料理の味が深まるのは当然ですから」

茶卵の殻を剥けば完成。冷蔵庫にあるとついついつまみたくなる味わいです

材料は最小限、作り方は極めてシンプル。手軽に食べられるのに、味わいはしみじみ奥深い。卵やお茶、さらには水という身近な食材を見直す意味でも、トライしてみたい一品です。

材料(卵6個分)

プーアール茶 8g
水 1000㏄
卵 6個
濃口しょう油 20g
ココナッツシュガー 50g
八角 3個
シナモン 2本
クローブ 6個

作り方

1. 水とプーアール茶の茶葉を入れたポットを冷蔵で2日間置き、濃いめの水出しプーアール茶をつくる。

2. 沸騰した湯に卵をいれ、ゆで卵をつくる。ゆであがった卵の殻に、スプーンでヒビ割れをつくり、1.と調味料、スパイスを加えて弱火で1時間火を入れる。煮汁ごと冷まして(半日〜1日)味を含ませる。

今回、森枝さんが使用したのは、美味しい水のブランド『Cleansui』のお茶をおいしくするための水をつくるポット型浄水器、「和食のためのクリンスイ  JP407-T」。“お茶ならではの繊細な味わいを感じるために、お茶専用の水があればいいのに”という想いから開発。品種はもちろん、採れた時期や場所、製法によって変化するお茶本来の風味を素直に引き出す水について吟味を重ね、 クリンスイの技術で実現。甘み、渋み、苦みといった それぞれのお茶が持つ味わいを楽しめます。

希望販売価格 ¥4,000(税込4,400)

https://shop.cleansui.com/washoku/#t

森枝幹


1986年生まれ。辻料理師専門学校を卒業後、シドニーの和風フレンチレストラン[Tetsuya’s]で修行。その後、日本料理の[湖月]、分子ガストロノミーで有名な[タパス モラキュラーバー]で修行を重ねる。東日本大震災をきっかけに独立を決意。2014年世田谷区代沢にオープンした[サーモン&トラウト]のシェフを務めて話題に。同店を卒業後、現在渋谷パルコ4階にタイ料理レストラン[chompoo]をオープンしシェフを務める。

Instagram:@moriedakan

CREDIT

Photography by Norio Kidera
Text by Kei Sasaki
Edit by Shunpei Narita

Supported by 三菱ケミカル・クリンスイ株式会社

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